ベトナム工場における改善 生産性169.6% UP
ベトナムにある日系製造メーカーにて6ヶ月間の改善活動を実施した。
| 経緯
この工場では自分達で改善活動を進めていたが、自力で出来ることは全てやったという意識があり活動が停滞していた。 そこで日本人の社長が一度、現場改善コンサルティングに外注し、現場を見てもらおうということで平山コンサルに声が掛かった。
| ステップ1 工場診断
まず現場にどのくらいムダがあるかを調査するため「1日工場診断」を実施。現場に行くと過去に自分たちで一生懸命改善した様子を随所に見ることが出来たが、確かにその後に更に高いレベルで改善を進化させたという状況は見ることが出来なかった。
| 診断結果
現場には下記のような問題が残されていた。
標準工数の不備 | 要素作業ごとの工数測定がされていないので標準工数がない |
作業のムダの発生 | • ラインバランスロスが放置されている • 手持ち、取り置き、動作などのムダが放置されている • 構内物流、材料供給のムダが放置されている |
整理整頓の不徹底 | 5Sが不徹底でありムダが発生している |
生産管理不備 | 生産の予実が見える化されていないので、問題が見つけにくい |
問題点を分かりやすく伝えるために現場で撮った写真を入れた「工場診断報告書」を35頁で作成し、現場診断の報告会を実施。
上記問題点を現場の写真入りで理論的に分かり易く報告したので、ベトナム人幹部も納得し、改善を一緒に進めていきたいと言う意見も飛び交い、その場でコンサルティング契約を終結することを決定した。
| ステップ2 改善プロジェクトの目標を設定
今回の改善活動の目的は生産性を上げることはもちろんだが、このPJが終わった後も自力で改善活動を続けられるようにする「人材育成」も大きなテーマである。
対象範囲は2ヶ所の組立職場を設定。段階的に生産性向上をして最終的に150%向上を目指すこととした。
コンサルタントはPJの方向性を決め教育を実施し、ローカルスタッフが主体で現状分析・問題点洗出し・改善実施を行うための助言をおこなう。
目的 | • 生産性向上 • 人材育成 |
対象範囲 |
• A職場 • B職場 |
生産管理不備 | • 標準工数の設定 1月~2月 • 生産性向上 • 3月 生産性 120% • 4月~5月 生産性 130% • 6月 生産性 150% (チャレンジ) |
定性目標 |
• 生産・作業管理、作業改善を任せられる人材の育成 • 継続的改善の仕組みづくり |
| ステップ3 改善活動
PJは最初にキックオフ大会を行い、1~2ヶ月で現状分析(標準工数設定)。
3ヶ月目は部品供給方法を改善し生産性120%向上。
4~5ヶ月目はラインレイアウト、作業改善、ラインバランス改善を行い生産性130%向上。
6ヶ月目はSUB Assy を含めた全体の改善を行い生産150%向上を目指した。
マスタープラン
| 教育した内容と改善項目
プロジェクトメンバーは下記の項目を座学で勉強し、現場で自らの手を汚し「現地・現物」で実践した。
メンバーは楽しみながら作業者も巻き込み改善活動を進め、それを見た他職場の人達や生産技術者も、時間があればこの職場を見に来て勉強をしていくようになった。
中にはちょっと自分の職場も見てくれないかと言いに来る管理者もいて、工場の中に改善が広まっていくのを感じる事ができた。
座学の項目 | |
1.ムダとは何か? ①ムダとは? ②動きと働き ③作業の中のムダ
2.七つのムダ ①つくり過ぎのムダ ②手持ちのムダ ③運搬のムダ ④加工そのもののムダ ⑤在庫のムダ ⑥動作のムダ ⑦不良をつくるムダ
3.動作のムダ
4.3M(ムリ・ムラ・ムダ)
5.タクトタイム、サイクルタイム | 6.ラインバランシング
7.ロット生産 VS 1個流し生産
8.単工程持ち、多工程持ち ①少人化の考え方 ②大部屋化
9.部品配膳、部品供給
10.構内物流
11.生産進捗管理
12.治工具削減
13.マシンサイクルの短縮 |
| 改善効果
改善効果生産性向上 169.6% UP